犬・猫のストルバイト結石とは?原因・症状・治療・予防について
犬や猫で比較的よくみられる尿路疾患の一つに「ストルバイト結石症」があります。
「何度もトイレに行く」「おしっこに血が混じる」「尿検査で結晶が見つかった」などの症状や検査結果から発見されることがあります。
ストルバイト結石は、適切な治療によって溶かすことができる場合がある一方、放置すると尿道閉塞などの重篤な状態を引き起こすこともあります。
今回は、ストルバイト結石の原因や症状、治療方法、再発予防について詳しくご紹介します。
【ストルバイト結石とは?】
ストルバイトとは、リン酸アンモニウムマグネシウムという成分からなる結晶です。
尿中のミネラル成分が結晶化し、それらが集まって大きくなることで結石が形成されます。
主に膀胱や尿道などに発生し、排尿に関するさまざまな症状を引き起こします。
ただし、尿検査でストルバイト結晶が見つかったからといって、必ずしも結石があるわけではありません。
結晶が認められた場合には、症状や尿の状態、画像検査などを総合的に判断することが重要です。

【ストルバイト結石ができる原因】
ストルバイト結石の形成には、尿のpH(酸性・アルカリ性の程度)、尿中のミネラル濃度、細菌感染などが関係しています。
特に犬と猫では、発症する原因に違いがあります。
🐶 犬の場合
犬では、細菌性膀胱炎などの尿路感染症が原因となることが多いとされています。
特定の細菌が尿素を分解することで尿がアルカリ性に傾き、ストルバイト結石が形成されやすくなります。
🐱 猫の場合
猫では、細菌感染を伴わないストルバイト結石が多く、食事内容や尿中のミネラル濃度、尿のpHなどが関係しています。
また、飲水量が少なく尿が濃縮されることも、結石形成のリスクにつながります。
【症状】
ストルバイト結石症では、以下のような症状がみられることがあります。
・血尿が出る
・何度もトイレに行く(頻尿)
・1回のおしっこの量が少ない
・排尿時に痛がる、鳴く
・トイレ以外の場所で排尿する
・陰部を頻繁になめる
一方で、結石が存在していても、明らかな症状がみられないこともあります。
⚠️ 特に注意が必要なのが「尿道閉塞」です。
結石などによって尿道が塞がると、おしっこが出なくなり、急性腎障害や高カリウム血症などを引き起こすことがあります。
特に雄猫では尿道閉塞が起こりやすく、命に関わることもあります。
何度もトイレに行くのに尿が出ない場合は、すぐに動物病院を受診してください。
【診断】
ストルバイト結石が疑われる場合には、主に以下の検査を行います。
・尿検査 ←重要!!
尿のpH、結晶の有無、血尿や炎症所見などを確認します。
・ レントゲン・超音波検査
膀胱や尿道などに結石がないか、大きさや数、位置を確認します。
・ 尿培養検査
細菌感染が疑われる場合には、原因菌や有効な抗菌薬を調べます。
なお、尿検査や画像検査だけでは結石の成分を確定できないため、必要に応じて結石分析を行います。
【治療】
ストルバイト結石の大きな特徴は、適切な食事療法によって結石を溶解できる場合があることです。
国際的な獣医内科学のコンセンサスでも、溶解が可能と考えられるストルバイト結石では、食事療法などによる内科的治療が推奨されています。
①食事療法
専用の療法食を使用し、尿のpHやミネラル濃度を調整することで結石の溶解を目指します。
溶解までの期間には個体差がありますが、猫の非感染性ストルバイト結石では数週間、犬の感染性ストルバイト結石では数か月かかることもあります。
治療中は定期的な画像検査で結石の変化を確認します。
② 細菌感染の治療
細菌感染が関与している場合には、尿培養検査などを参考に適切な抗菌薬を使用します。
③ 外科的治療など
尿道閉塞がある場合や、食事療法での溶解が難しい場合には、緊急処置や結石の摘出が必要になることがあります。
また、シュウ酸カルシウム結石など、食事療法では溶けない結石もあるため、適切な診断が重要です。
【再発を防ぐためには?】
ストルバイト結石は、治療後も再発する可能性があります。
再発を防ぐためには、日頃からの生活管理が大切です。
① 飲水量を増やす
新鮮な水を複数の場所に用意したり、ウェットフードを活用したりすることで、尿の濃縮を防ぎます。
② 適切な食事管理
必要に応じて再発予防用の療法食を使用し、尿の状態を管理します。
③ トイレ環境を整える
トイレを清潔に保ち、排尿を我慢しにくい環境を整えましょう。
④ 尿のpHを適切に管理する
ストルバイト結石は、尿がアルカリ性に傾くと形成されやすくなります。
そのため、食事療法などによって尿を適度な弱酸性に保つことが重要です。
一般的には尿pH6.0〜6.5程度が目安とされ、国際的な獣医内科学のコンセンサスでも、pH6.5未満ではストルバイトの溶解性が高まるとされています。
ただし、尿を酸性にしすぎると、シュウ酸カルシウム結石などのリスクにつながる可能性があります。
また、犬では細菌感染の治療が特に重要となるため、結石の種類や原因に合わせた管理が必要です。
⑤定期的な尿検査をする
ストルバイト結石は、一度治療して改善しても再発することがあります。
また、尿の状態が変化していても、初期には目立った症状がみられない場合があります。
そのため、症状がなくても定期的に尿検査を受けることが大切です。
尿検査では、主に以下の項目を確認します。
・尿pH:尿が酸性・アルカリ性のどちらに傾いているか
・尿比重:尿の濃さを確認し、水分摂取の状態を評価する
・尿沈渣:結晶や赤血球、白血球、細菌などの有無を確認する
これらを確認することで、結石が形成されやすい尿の状態や、尿路感染症の兆候を把握することができます。
ただし、尿検査だけで結石の有無を判断できるわけではないため、必要に応じて超音波検査やレントゲン検査も組み合わせます。
検査の頻度は、結石の種類や治療経過、再発歴などによって異なります。
結石の治療中は定期的に検査を行い、治療終了後も獣医師と相談しながら継続的に尿の状態を確認していきましょう。
なお、自己判断で尿を酸性化するサプリメントなどを使用すると、別の種類の結石形成につながる可能性もあるため注意しましょう。
【まとめ】
ストルバイト結石症は、犬や猫で比較的よくみられる尿路疾患の一つです。
適切な食事療法などによって改善が期待できる一方、尿道閉塞などの重篤な状態を引き起こすこともあります。
また、犬と猫では発症する原因が異なるため、それぞれに合わせた治療や再発予防が大切です。
「最近トイレの回数が増えた」「おしっこの色が気になる」など、気になる症状がありましたら、お気軽にご相談ください🐾

