神奈川県川崎市の動物病院 だん動物病院

【よくある質問】SDMAが高い=腎臓病?SDMA検査について解説します

健康診断の血液検査で「SDMAが高い」と言われたことはありませんか?

最近では犬・猫の健康診断でSDMAを測定する機会が増えています。

「SDMAって何?」
「SDMAが高かったら腎臓病なの?」
「クレアチニンが正常なら大丈夫?」

今回は、診察でもご質問をいただくことがあるSDMAについて、よくある質問を交えながら解説します。

 

 

【SDMAとは?】

SDMA(対称性ジメチルアルギニン)は、主に腎臓から排泄される物質です。

腎臓には血液をろ過して、体に不要なものを尿として排泄する働きがあります。この腎臓のろ過能力をGFR(糸球体濾過量)といいます。

腎機能が低下してGFRが低下すると、SDMAが体内に残りやすくなり、血液中のSDMA濃度が上昇します。

そのためSDMAは、腎臓のろ過機能が低下していないかを確認する指標のひとつとして使用されています。

 

【SDMAの数値はどう見るの?】

IDEXXでは、成犬・猫の場合、

・15µg/dL未満:基準範囲内

・15~19µg/dL:高値として原因を評価

・20µg/dL以上:包括的な尿検査などを行い、腎臓病の可能性について詳しく評価

としています。

 

ただし、ここで大切なのが、「SDMAが高い=慢性腎臓病」とは限らないということです。

SDMAが上昇しているということは、GFRが低下している可能性を示しています。

しかし、その原因としては慢性腎臓病(CKD)だけでなく、急性腎障害(AKI)、尿路感染症・腎盂腎炎、脱水、高血圧、腎臓に負担をかける薬剤や物質など、さまざまなものが考えられます。

そのため、「SDMAが高いから腎不全」と判断するのではなく、なぜSDMAが上昇しているのかを調べることが重要です。

 

 

【よくある質問①】

Q.SDMAだけで腎不全を判断してもいいのでしょうか?

A.いいえ。SDMAだけで腎不全と判断することはできません。

 

SDMAは腎臓のろ過機能(GFR)の低下を捉えるための非常に有用な指標ですが、SDMAの上昇だけでは、その原因までは分かりません。

当院ではSDMAが高かった場合、

クレアチニン、BUN、リンなどの血液検査

・尿比重などの尿検査

・尿蛋白(UPC)

・血圧測定

・腹部超音波検査

・必要に応じて尿培養検査

などを組み合わせて評価します。

特に重要なのが尿検査です。

「血液検査で腎臓の数値が正常だから大丈夫」というわけではなく、尿比重の低下や蛋白尿など、尿検査から腎臓病の手がかりが見つかることがあります。

SDMAはあくまで腎臓を評価するための「ひとつの指標」と考えることが大切です。

 

 

【よくある質問②】

Q.クレアチニンが正常なら腎臓は大丈夫ですか?

A.必ずしもそうとは限りません。

 

クレアチニンは腎機能を評価するうえで非常に重要な検査項目ですが、一般的に腎臓のろ過機能(GFR)が約75%低下してから上昇するといわれています。

一方、SDMAは平均約40%のGFR低下で上昇するとされており、クレアチニンよりも早い段階で腎機能の低下に気づける可能性があります。

また、クレアチニンは筋肉量の影響を受けるため、高齢の犬・猫や筋肉量の少ない子では、腎機能が低下していても数値が上昇しにくいことがあります。

このような特徴から、SDMAは腎機能低下の早期発見に役立つ検査として健康診断などでも利用されています。

ただし、ここで注意していただきたいのが、

「SDMAが正常=腎臓に問題がない」とは限らない

ということです。

SDMAは腎臓の「ろ過機能」を評価するための指標のひとつであり、SDMAだけですべての腎臓病を見つけられるわけではありません。

そのため、腎臓を評価するうえでは尿検査も非常に重要です。

例えば、尿比重の低下や蛋白尿など、血液検査だけでは分からない腎臓の異常が尿検査から見つかることがあります。

当院では、クレアチニンやSDMAだけで「腎臓が大丈夫」と判断するのではなく、血液検査と尿検査を組み合わせ、必要に応じて血圧測定や超音波検査なども行い、総合的に腎臓の状態を評価しています。

つまり、

クレアチニンが正常だから大丈夫
SDMAが正常だから大丈夫

ではなく、

「血液検査+尿検査を組み合わせて評価すること」が腎臓病の早期発見には大切です。

 

 

【よくある質問③】

Q.SDMAが高かったら、すぐ治療が必要ですか?

A.SDMAが高いという理由だけで、すぐに治療が必要とは限りません。

 

大切なのは原因を調べることと、数値の変化を追うことです。

例えば脱水などの原因を改善した後にSDMAが基準範囲内へ戻る場合もあります。

一方、SDMAが高い状態が持続している場合には、GFRの低下が継続している可能性があるため、慢性腎臓病(CKD)も考慮します。

さらにSDMAが持続的に上昇していく場合には、腎障害が進行している可能性を考えて再検査や追加検査を行います。

つまり、1回の検査結果だけではなく「以前と比べてどう変化しているか」を見ることも非常に重要です。

 

【よくある質問④】

Q.SDMAが高かったら腎臓用フードにした方がいいですか?

A.必ずしもすぐに変更する必要はありません。

 

SDMAの数値だけで腎臓療法食を開始するのではなく、慢性腎臓病の有無や進行度、リン、尿蛋白、食欲などを総合的に評価して判断します。

自己判断で変更するのではなく、まずは獣医師にご相談ください。

 

 

【よくある質問⑤】

Q.元気なのにSDMAを測る意味はありますか?

A.あります。むしろ元気なうちに検査することが大切です。

 

腎臓病は初期には症状が分かりにくく、「水をたくさん飲む」「尿が増える」「食欲が落ちる」「痩せてきた」といった変化がみられる頃には、ある程度病気が進行していることもあります。

そのため健康なうちから定期的に検査を行い、その子自身のSDMA・クレアチニン・尿検査などの変化を記録していくことが、腎機能低下の早期発見につながります。

 

 

【まとめ】

SDMAは犬・猫の腎機能を評価するうえで、とても有用な検査項目です。

しかし、最も大切なのは、「SDMAが高い=腎不全」と考えないことです。

SDMAが高かった場合には、その数値だけを見るのではなく、血液検査、尿検査、血圧、超音波検査などを組み合わせて、「なぜSDMAが高くなっているのか」を調べる必要があります。

また、一度の数値だけではなく、定期的な健康診断によってその子自身の数値の変化を追っていくことも大切です。

健康診断でSDMAの上昇を指摘された場合や、腎臓の数値について気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。

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