神奈川県川崎市の動物病院 だん動物病院

レプトスピラ症

2025-12-04

レプトスピラ症は、「レプトスピラ」という細菌によって引き起こされる 人獣共通感染症(動物から人にもうつる病気)です。主に犬で多く見られますが、猫では比較的まれと言われています。重症化すると命に関わることがあるため、早期診断と治療、そして予防が非常に重要です。

 

 

【感染経路】

レプトスピラ菌は ネズミなどの野生動物の尿を介して環境中に広がります。
汚染された水たまり・川・湿った草むらなどに生息し、特に 雨の多い季節や河川の多い地域で感染リスクが高まります。

 

 

【主な感染経路】

レプトスピラに汚染された 水や土の接触

汚染された水を 飲む

傷口や粘膜(口・鼻・目)からの 細菌の侵入

感染している動物の尿との接触

犬のお散歩中に水たまりの水を飲んだり、草むらに顔を突っ込んだりすることで感染することがあります。

 

 

【症状】

レプトスピラ症の症状は多様で、軽度のものから急激に悪化するものまで様々です。

 

発熱

元気・食欲の低下

嘔吐・下痢

脱水

一見、ごく一般的な体調不良と見分けがつかないこともあります。

 

・進行すると…

レプトスピラは 肝臓と腎臓を強く侵すため、以下のような重症症状が出ることがあります。

黄疸(歯ぐきや白目が黄色くなる)

・尿量が減る、または増える(急性腎不全

・重度の脱水

肺出血症候群(LPHS:Leptospiral Pulmonary Hemorrhage Syndrome)

・多臓器不全

これらの症状が出た場合、緊急治療が必要となります。

 

 

診断】

レプトスピラ症の診断には 血液検査・尿検査・超音波検査などが用いられますが、確定には以下の検査が重要です。

 

・レプトスピラ抗体価(MAT検査)

レプトスピラに対する抗体を測定します。
ワクチンや感染時期の影響を受けるため、 ペア血清(2回測定して上昇を確認) が有効です。

 

・PCR検査

血液や尿に含まれるレプトスピラの遺伝子を検出する検査で、早期診断に最も有用とされています。

※状況によっては複数検査を組み合わせて診断します。

 

 

治療】

レプトスピラ症は 早期治療が予後を大きく左右します。

・ 抗生物質

・ 対症療法

適切な治療を早く始めることが命を救うポイントです。

 

 

予防が最も大切:ワクチンで守る】

レプトスピラ症は ワクチンで予防可能な感染症です。

 

(ワクチンを推奨する犬)

・河川敷のお散歩が多い

・草むら・水場に入る

・野生動物(特にネズミ)が多い地域

・皮下や粘膜に傷がつきやすい

地域によって流行株が異なることがあるため、動物病院で最適なワクチンを相談してください。

 

 

人への感染について】

レプトスピラ症は 人にも感染します。

感染犬の尿にはレプトスピラが排泄されるため、家庭内で看病する際は以下を徹底する必要があります。

・尿や嘔吐物の取り扱いに手袋・マスクを使用

・排泄物の消毒(次亜塩素酸ナトリウムが有効)

・こまめな手洗い

治療中の犬に触れた程度では感染リスクは低いですが、念のため対策を徹底することが大切です。

 

 

【まとめ】

レプトスピラ症は、自然環境に潜む細菌による危険な感染症です。

・発生地域では意外と身近

・早期診断・早期治療が命を救う

・ワクチン接種で予防可能

・人にも感染するため注意が必要

「いつもと違う元気のなさ」「急な発熱」「黄疸」などが見られたら、早めに動物病院へご相談ください。

だん動物病院では、地域の環境や生活スタイルに合わせた 最適なワクチン計画のご提案 や、疑わしい症状がある場合の 迅速な検査と治療 に対応しています。

 

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