神奈川県川崎市の動物病院 だん動物病院

膀胱結石

2025-10-20

【膀胱結石とは?】

膀胱結石とは、膀胱の中に「石(結石)」ができてしまう病気です。
尿の中には、本来であれば溶けているはずのミネラル成分(カルシウムやマグネシウムなど)が、何らかの理由で結晶化し、少しずつ固まって石のような塊になることで発生します。
結石は、砂粒のように小さいものから、数センチほどの大きな石までさまざまです。

膀胱は尿をためる臓器のため、結石ができると膀胱の粘膜を刺激して炎症や痛み、血尿を引き起こします。犬や猫では比較的よく見られる病気のひとつです。

 

症状】

膀胱結石ができても、最初のうちは症状がほとんど出ないこともあります。
しかし、結石が大きくなったり、膀胱の壁を傷つけたりすると、次のような症状が見られるようになります。

・尿が少しずつしか出ない

・トイレに何度も行く

・血尿が出る(ピンク色や赤い尿)

・排尿のときに痛がる、鳴く

・トイレ以外の場所でおしっこをしてしまう

・元気や食欲がなくなる

 

特にオスの場合、結石や結晶が尿道に詰まると尿がまったく出なくなることがあります。
これは「尿閉(にょうへい)」と呼ばれ、命に関わる緊急事態です。
排尿ができない、何度もトイレに行くのに尿が出ていない場合は、すぐに動物病院を受診してください。

 

 

原因】

膀胱結石の原因はいくつかあり、犬や猫の種類、食事、体質、感染などが関係しています。

代表的な結石の種類は以下の通りです。

 

・ストラバイト(リン酸アンモニウムマグネシウム)

⇨尿がアルカリ性に傾くとできやすい。尿路感染が原因になることもあります。食事療法で溶解可能。

 

・シュウ酸カルシウム

⇨尿が酸性のときにできやすい。食事療法で溶解が難しい。

 

・尿酸アンモニウム、シスチン

⇨遺伝的な代謝異常が関与することが多い。

 

 

診断】

膀胱結石の診断には、いくつかの検査を組み合わせて行います。

尿検査:尿のpH(酸性・アルカリ性)や結晶の有無を確認します。

⇨尿のph(酸性・アルカリ性)によりできやすい尿石の種類が変わります。また、一度の尿検査で判断せず、数回行うことが重要です。

 

X線検査:多くの結石はレントゲンで確認できます。X線検査にて、結石の数・位置を確認します。

 

超音波検査(エコー):レントゲンに写りにくい結石も確認でき、膀胱の炎症や尿の状態も分かります。

結石の種類を正確に判断することが、今後の治療や再発予防にとても大切です。

 

 

治療】

膀胱結石の治療は、結石の種類・大きさ・症状の重さ によって変わります。

 

・食事療法

特定の結石(特にストルバイト結石)は、療法食によって溶かすことが可能です。
一方で、シュウ酸カルシウム結石などは食事で溶かすことができないため、再発予防を目的とした食事管理を行います。

 

・外科的治療

結石が大きい、または尿道に詰まっている場合は、外科手術で膀胱を開いて石を取り出す必要があります。
手術後は再発を防ぐため、結石の分析を行い、原因に合わせた食事や生活管理を続けることが大切です。

 

・内科的サポート

抗菌薬による感染の治療や、排尿をスムーズにするための薬を併用する場合もあります。

 

 

再発を防ぐために】

膀胱結石は、治療後に再発しやすい病気です。
再発予防のためには、次のようなポイントが重要です。

療法食を継続する(自己判断で通常食に戻さない)

十分な水分摂取(ウェットフードを取り入れる、水飲み場を増やす)

定期的な尿検査(pHや結晶の有無をチェック)

体重管理(肥満は結石リスクを高めます)

これらを日常的に意識することで、再発のリスクを大きく減らすことができます。

 

【まとめ】

膀胱結石は、早期に発見し、正しく対処することで多くの場合は良好に管理できます。
「最近トイレの回数が多い」「血尿が出ている」「排尿姿勢が長い」など、いつもと違う様子が見られたら、早めに動物病院で検査を受けましょう。

愛犬・愛猫の尿の変化は、体からの大切なサインです。
毎日の観察と定期的な健康チェックで、快適な暮らしを守ってあげましょう。

ネット予約